産業廃棄物って何?どうやって捨てればいいの?
そんな疑問を持っている事業主の方々から、弊社が行っているごみ回収サービスに関してのお問い合わせをいただくことが多々あります。家庭ごみはごみ集積所に出していれば持って行ってもらえますが、お店や事業所から出るごみはそうもいきません。
今回は、事業から出るごみの回収や処分の仕組みにおける大切なポイントをご説明します。
1.自分のごみは自分に返ってくる「排出事業者責任」
事業から出るごみの処分に関して最も大切なのは、排出事業者責任が法律で定められているということです。
事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない(廃棄物処理法 第3条)
かみ砕くと、「自分の出したごみは自分で責任をもって処分してください」ということ。このような決まりごとができたのは、1960年代から70年代にかけて発生した公害問題が背景にあります。工場などから川に排出された有害物質が人々を苦しめた過去を反省し、ごみの処分に関しての責任を明確にすることが急務となりました。
事業から出る不燃ごみは、産業廃棄物と呼ばれます。家庭から出るごみや事業から出る可燃ごみよりも、処分場での処分にかかる費用が高いのが特徴的です。
処分コストが高いため、事業を行っている人たちでもきちんと処分することを嫌う方々が一定数いるのが現実です。加えて、無責任なごみ回収業者が、回収したごみを山や空き地に捨てることもあります。そのような事情から産業廃棄物の不法投棄は発生しやすく、より一層「排出事業者責任」として責任の所在を明らかにする必要があるのです。
ちなみに「排出事業者責任」に基づくと、事業主の方がきちんとごみ回収を手配したのにも関わらずごみ回収業者が不法投棄をした場合、ごみ回収業者への罰則はもちろん、ごみを排出した本人である事業主への罰則も課されます(5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、法人には1億円まで加重可能)。
そのため事業者の方は、自治体から正式に収集運搬や処分の許可証を発行されている信頼できる業者に頼まなければなりません。
2.産業廃棄物を処分するには、契約書の事前締結が必須
事業から出る不燃ゴミ(=産業廃棄物)の例として、以下のようなものがあります。
- ペンやファイルなどのプラスチック製品
- 食器などのガラスや陶器類
- ドライヤーや電話機などの小型家電製品
- 食品製造業から出る魚のあらなどの残さ
こうしたごみを処分するには
①収集運搬業者とごみを排出するお客様が「収集運搬」に関する契約書を、
②処分場とごみを排出するお客様が「処分」に関する契約書を、
それぞれ事前に結ぶことが決められています。
排出事業者責任が設けられたいきさつからわかるように、経済活動を通して出されるごみにはより一層の責任と注意が伴います。グレーな部分を残さないよう一言一句書面に落とし、何かあった際の責任を事前に明瞭にしておきます。
3.実際のごみの収集運搬と処分は、マニフェストで管理
契約書が締結され実際にごみの回収が始まると、事業から出たごみがきちんと運搬及び処分されているかを管理するため、マニフェストを利用します。
紙マニフェストは、A票からE票までの7枚つづりとなっています。各票には以下のような役割があり、それぞれの票が正しい流れをたどることで法に則った正しい処分を完了したことを示します。
- A票 …ごみを排出した事業者が保管
- B1票 …ごみを運搬した業者が保管
- B2票 …運搬終了を確認するため、運搬業者が排出事業者に返送
- C1票 …処分業者が保管
- C2票…処分終了を確認するため、処分業者から運搬業者に返送
- D票 …処分終了を確認するため、処分業者から排出事業者に返送
- E票 …最終処分終了を確認するため、処分業者から排出事業者に返送
また、現在は紙媒体ではなく電子マニフェストも普及しつつあります。
両者ともに目的は同じですが、電子マニフェストは事務作業の効率化が図れるうえ、ごみの処理状況がリアルタイムで確認できる等のメリットがあります。それでも、こうしたシステムに不慣れな業者はやはり導入への心理的ハードルが高く、また紙マニフェストよりお金がかかるという点からも、電子マニフェストの普及率は約6割にとどまるようです(参考:https://www.sfinter.com/topics/post-1098/)。
まとめ
今回の記事では、産業廃棄物の処分にまつわる事柄についてまとめました。
歴史を見ても、産業廃棄物はわたしたちの健康に大きな被害をもたらしてきました。そうした反省から、排出事業者の責任を明確にし、処分までの過程を徹底的に管理するという制度を作ってきたんですね。
産業廃棄物の処分に不安があったり、定期回収をお願いしたい事業者様がいらっしゃいましたら、ぜひ弊社に一度ご相談ください!
担当 鈴木 啓道