もし自分の親が亡くなり、ご自身が遺産相続人であった場合、遺産整理をする必要があります。
ご自身の死後の場合は、残された家族で遺産整理は行われます。
それは現金・不動産・株などの財産分与だけでなく、一番時間と手間がかかる住まいの片付けも行う必要があります。
「もっと早くやっておけばよかった」と後悔することがないように、体力がある元気なうちに少しづつ始めてみませんか。
今回は、実家である住まいを生前に片付けするためのポイントをご紹介します。
実家の片付け「生前整理」をはじめるタイミング
生前整理を行うには、いつ頃から始めればいいのでしょうか。
ご自身の家族のために自分の家の片付けでしたら思い立った時がはじめ時です。
まずは家財道具など住居内を見回し、残された家族が困らないように整理を進めるのがいいでしょう。
ですが、自分の実家はなかなかすぐには生前整理を始めることができません。
それは、自分とは違う生活スタイルで過ごしている親や家族がいるからです。
たとえ子どもだからといっても、勝手に片付けを始めてしまうとトラブルになる恐れがあります。
高齢の親が住んでいる実家を片付けたい!と思った時、片付ける前にまずは「片づけたい気持ち」を伝えることが大切です。
自分の家の中を片づけられる親の気持ちも推し量りながら、生前整理をはじめるきっかけになる3つのタイミングをご紹介します。
なんとなく親の様子に違和感を感じた時
親の様子に違和感を感じた時は、生前整理を始めるタイミングの一つです。
違和感を感じる時とは例えば、以下のような場合が挙げられます。
- 元々はきれい好きだったのに、部屋が少し雑然としていると感じた時
- 郵便物がたまっている時
- 冷蔵庫に賞味期限切れのモノが溜まっている時
親や自分が健康なうちに
自分が実家に帰るのも、親と一緒に片付けるのも、気力も体力も必要となります。
それゆえに、実家の片付けは親や自分が健康なうちにはじめることが肝心です。
親が施設に入所のタイミング
親に介護が必要になり、施設に入所することになった際、生前整理を行うタイミングの一つです。
実家の片付けは、親と一緒にしないとトラブルに発展しかねませんので、この期を逃さないように気をつけてください。
「実家の片付け」成功の秘訣は親の説得
「実家の片付け」の成功の秘訣は、親の説得といえます。
とりわけ高齢者は、環境が変わることを嫌う傾向にあるため、説得に時間がかかるかもしれません。
しかし、焦らずに時間をかけて丁寧に話し合い、片付けに納得してもらってください。
最近は、メディアでも生前整理について取り上げられることが多くなっているため、そういったところからアプローチするのも有効な手段です。
親でも許可を得る必要があります
自分の実家だとしても、片付けを行うには親に許可を得る必要があります。
なぜなら、実家にあるモノは親の所有物だからです。
なぜ片付けが必要なのかを十分に理解してもらうことで、その後の作業も楽になります。
親が片付けに承諾していない段階で、無理に進めることは望ましくありません。
安全で健康な生活してもらうのが目的
片付けを行うのは、親の安全と健康な生活が目的です。
多くのモノに囲まれた状態で生活すると、掃除がしにくく、病気や怪我の原因にもなります。
家をすっきり片付けることで、安全で健康な生活に繋がることを理解してもらうことが大切です。
生活動線を考えた暮らしの提案
玄関や廊下、トイレやお風呂などで、通路が狭くなったり、不自由を感じたりする場所はありませんか。
これらの生活動線の確保を考えた片付けを提案するのがコツです。
生活動線を広げることで、転倒して怪我をするリスクが減らせます。
また、親も片付けてよかったと実感することで、他の部屋の片付けに意欲的になることでしょう。
他人が片付ける許可を得る
親に、家族以外の第三者に手伝ってもらっても良いかどうかの許可を得ることも必要です。
タンスや戸棚などの大型家具を処分しなければならない場合は、自分たちだけでは難しいためです。
勝手に業者に頼むことがないように注意してください。
親と自分のルールの違いを認識する
親には親のルールがあることを忘れないようにしましょう。
自分にとっては不要なモノであっても、親にとっては大切なモノもあります。
自分の価値観を押し付けるのではなく、親の意思を尊重し、親が主体的に片付けられるように導いてあげれば、スムーズに作業が進みます。
「効率的な片付け」の常識とは違う生前整理
生前整理は、いわゆる「効率的な片付け」とは違い、残された人生をより良いものにするための片付けです。
ただ要らないからといって、どんどん捨ててしまわないように気をつけましょう。
親にとって本当に必要なモノ、残しておきたい大切なモノを把握するために行うことを認識しておくことをおすすめします。
親の承諾を得たら・・・
親に片付けの承諾を得たら、いよいよ片付けのスタートです。
実際に片付けをはじめるにあたっての注意点をご紹介します。
先延ばしにしない
いざ片付けをすると決めても、何から手を付けて良いか分からないということもありますよね。
だからっと言って、先延ばしするのも好ましくありません。
まずは実家に残っている自分のモノから片付けを始めるのも得策です。
そうすることで、親も自分が「片付けること」に対するイメージがしやすくなります。
実家の片付けは、何度も計画と修正が必要
実家の片付けは、一度で終わるものではありません。
場合によっては数ヶ月かかることを想定しておかなければなりません。
そのため、何度も計画と修正が必要になってきます。
無理な計画を立てて、子供が焦ってやっていると、親も不安になります。
できるだけゆとりを持った計画を立て、目標がクリアできたらチェックしていくといった方法なら達成感も味わうことができます。
誰が片付けるのか?
遠方の場合
実家が遠方の場合、帰省すること自体がなかなか難しく、片付けが思うように進まない可能性があります。
そういう時は、部分的に「片付けのプロ」にお願いすることも有効的です。
親からしても、第三者が携わることにより諦めがつきやすくなるメリットもあります。
同居の場合
同居の場合は、基本的には親子が一緒に片付けることになります。
例えば玄関や洗面所などの、比較的思い入れが強くない場所からはじめるのがポイントです。
同居している場合の最大のメリットは、コミュニケーションが容易に取れることです。
無理のない計画に沿って、親子が気持ちよく片付けられたら素晴らしいですね。
やってみると実感しますが、実家の片付けは想像以上に大変です。
途中で挫折してしまわないように、思い切ってプロに任せることも考えておいてください。
また、兄弟姉妹がいる場合は、ぜひみんなで協力して作業を行ってください。
子供たちが揃って参加すれば、後々のトラブルも防げますし、何より親も安心することができます。
生前整理は、実家にモノが多い理由を知ることから
「実家の片付け」をする前に、まずは実家にモノが多い理由を把握することが大切です。
理由がわかっていないと、せっかく片付けても、すぐにまた同じ状況になりかねないからです。
親に今後はモノを増やさない習慣にしてもらうことが、片付けをより効率に進めるポイントです。
ここでは、実家にモノが溜まってしまう6つの原因をご紹介します。
高齢者は一人分ではなく、家族分の買い物習慣が抜けない
高齢者は自分ひとりの分だけでなく、家族分の買い物をしてしまいがちです。
これは、以前家族が一緒に住んでいたときの習慣が残っているためと思われます。
親が本当に必要な分だけ買い物をするように、習慣を変えることが必要です。
捨てられない・片付けられない
高齢者に根付いているのは、「もったいない精神」。
高齢者が若かりし頃は、今のように、欲しいものが簡単に手に入る時代ではなかったためです。
そのため多くの高齢者が「捨てる=悪いこと」と感じてしまい、なかなか捨てられない・片付けられない傾向にあります。
収納場所がたくさんある
高齢者の部屋には、タンスや戸棚などの収納場所が多いため、結果的にモノが多くなってしまいます。
収納場所が多いと、ついつい色々と入れすぎてしまいますよね。
収納場所を減らすことが、モノを減らすことに繋がります。
部屋数が多い
子どもが巣立ったことにより使わない部屋が増え、モノを溜め込むスペースが多くなってしまうのも理由の一つです。
物置と化した部屋がある場合、そもそもモノが多いことに気づいていないかもしれません。
来客用の布団・食器が多い
高齢者は、「いつか誰かが来た時に」と来客用の布団や食器を捨てずにいる方が多いです。
「ここ数年の間に一度も使用していないのであれば処分する」といったような一定のルールがあると、整理しやすくなります。
大掃除をしなくなる
年齢を重ねると、身体的理由から大掃除をすることが億劫になる傾向があります。
今まで大掃除の時に併せて不用品を処分していた人であれば、その機会を失うことがモノが多くなる原因となっていることでしょう。